オートミールは「オーツ麦」+「食事」の造語という誤り

スポンサーリンク
スポンサーリンク

オートミール(oatmeal)は、「オーツ麦(oat)」と「食事(meal)」を組み合わせた造語で、オーツ麦(oats)という穀物をカットしたり押しつぶしたり、蒸したりして、食べやすく加工したもの。

日本ではこの定義が広く用いられていて、「オートミール」の名称が商品名になっていますが、実はこれ、オートミールになじみのない日本人の誤解なのです。

「oat」は「オーツ麦」で間違いないのですが、「meal」には「食事」以外にも「粗く挽いた穀物」の意味があり、ここでは後者で、「oatmeal」は「粗く挽いたオーツ麦」を表します。

日本で一般的なフレーク状のオートミールは、「ロールドオーツ(rolled oats)」というのが正式名称です。

オーツ麦の粒をロールしてフレーク状にする機械が1860年ごろアメリカ・オハイオ州で発明され、後にクエーカーオーツカンパニーとなる会社が「オートミール」という用語を使って朝食用シリアルの製造・販売をはじめました。

クエーカーの朝食用シリアルは大ヒット。ロールドオーツは「オートミール」としてアメリカ国民に愛され、朝食の定番となりました。

日本で「オートミール」が通称となっているのは、まさにこの朝食用シリアルからきているといえます。

アメリカ人がロールドオーツに加工されたオーツ麦を食べるようになったのは、150年ほど前からですが、オーツ麦を食用にしていた歴史は古く、たとえば、スコットランド人は千年以上も前からオーツ麦のお粥を食べていました。

オーツ麦とオートミールの食文化の歴史をたどる
日本でいうオートミール(ロールドオーツ)が登場したのは150年ほど前ですが、その原料であるオーツ麦は3万年以上の長い歴史を持っています。イギリスやスコットランドで受け継がれているオーツ麦文化からアメリカでの大々的普及までの変遷を紹介します。

でも、スコットランド人は、オートミールという名のシリアルやロールドオーツを使っていませんでした。スコットランドやイングランドでは、ロール状ではない別のタイプのオーツ麦を「オートミール」と呼びます。

スコットランドやイングランドのオーツ麦栽培地域では、オーツ麦を石臼で挽いた粒を食べていました。イギリスでは、このタイプのオーツ麦の粒を「オートミール」と呼び、お粥やパンなどを作るのに使われていたのです。

これがまさに、「粗く挽いたオーツ麦」=「オートミール」です。

日本もそうですが、アメリカとイギリスとでは、「オートミール」の意味が違います。

アメリカでの「オートミール」は、通常はロールドオーツを水や牛乳で調理した温かいお粥を指します。

一方、イギリスでは、 「オートミール」はオーツ麦を石臼で挽いた粒を意味します。そして、オートミールまたはロールドオーツを水や牛乳で煮たお粥をポリッジと呼びます。

ただ、クエーカーがロールドオーツを世界的に売り込むことに大成功したため、いまではイギリスでオーツ麦の粒のオートミールを扱っているショップは非常に少ないのが現状です。

ですから、昔からロールドオーツを食べていたと勘違いする人がいても不思議ではありませんね。

とはいえ、本来のオートミールの人気は根強く、ショップには並んでいなくても、オーツ麦を扱う企業の複数社が、「スコティッシュオーツ」という名称で粒状のオーツ麦を製造・販売しており、オンラインで購入することができます。

オーツ麦の伝統を誇るスコットランドで開催される世界ポリッジ作り選手権(World Porridge Making competition) では、ロールドオーツの使用は認められていないほどです。

日本では、オートミールといえばロールドオーツが一般的で、最もよく目にするのがこのタイプです。

オーツ麦は非常に硬い外皮に包まれているため、食べるためには長時間煮込まなければなりません。そこで、短時間でも食べられるように、加工がほどこされます。

それでは、ロールドオーツ以外に、オーツ麦の加工品には、どのような種類があるのでしょうか?

オーツ麦の加工品は5種類あるとされます。

オートグローツ(ホールオーツ)

オーツ麦のもみ殻を取り除いたものをオートグローツ(ホールオーツ)といいます。オートグローツは、玄米のような状態で、そのままでは食べられないため、長時間の加熱などが必要です。

スティールカットオーツ

オートグローツを鉄(スティール)の刃で粗く挽き割ったものをスティールカットオーツ、またはアイリッシュオーツといいます。スティールカットオーツは加熱されていないため、最低でも15~20分の熱処理をしなければ食べられません。調理された後でも、歯ごたえがあり、玄米に似た食感です。

スコティッシュオーツ

スコティッシュオーツは、スティールカットオーツのようにカットするのではなく、オートグローツを挽いて粉砕したものです。スティールカットオーツより粒が細かいため、なめらかでクリーミーな食感になり、スコットランド風ポリッジ(お粥)や焼き菓子に使われます。

ロールドオーツ/オールドファッションドオーツ

オートグローツを蒸してからローラーで平たく延ばし、乾燥させたもので、朝食用シリアルとして食べられている最もポピュラーなオーツ麦加工品です。日本で「オートミール」と表示されているほとんどがこのタイプといえます。

クイックオーツ/インスタントオーツ

クイックオーツやインスタントオーツは、ロールドオーツをさらに薄くして細かくスライスしたものです。電子レンジなどで短時間で調理でき、手軽に食べられることができます。

 

この5種類の他に、オーツ麦粉とオートブランがあります。

オーツ麦粉(オーツフラワー)

オーツグローツを製粉して粉末化にしたものです。栄養価の高い胚芽、ふすま、胚乳がすべて含まれています。焼き菓子やパンに使われます。

オートブラン

オーツ麦の外皮とその内側の糊粉層の粉をオートブランといいます。米でいえば「ぬか」にあたります。ロールドオーツやスティールカットオーツに比べ、食物繊維やミネラルを最も多く含んだ栄養価の高いのが特徴です。オートブランは主にクッキーやパンなど焼き菓子の材料、サプリメントとして利用されます。

 

日本のレシピでは、材料に「オートミール」と書かれていますが、英語のレシピでは「ロールドオーツ」などと記されます。

まだまだオートミールについて知らないことが多いですね。

少しずつこのサイトで情報発信していこうと思います。

タイトルとURLをコピーしました